2011年10月24日月曜日

Synthesis of Catechols from Phenols via Pd-Catalyzed Silanol-Directed C-H Oxygenation

Chunhui Huang, Nugzar Ghavtadze, Buddhadeb Chattopadhyay, and Vladimir Gevorgyan
J. Am. Chem. Soc., Article ASAP
Publication Date (Web): October 14, 2011
 
Gevorgyan先生は以前にケイ素Siをリンカーとするortho-位アセトキシル化を報告している。
そのときは2-ピリジルシリル基を使っていたが、今回はシラノールのOHを誘導基としてカテコール誘導体を合成する反応を報告した。
ヨードベンゼンジアセテートを酸化剤とする、Pd触媒によるortho-位C-H結合アセトキシル化が重要。
そこで生成する中間体が酸触媒エステル交換、環化により、環状シリル保護カテコールが生成する。
最後にフッ化物イオンで脱保護することでカテコール誘導体が得られる。
アセトキシル化の中間体も経時変化を見ることで確認している。
  
ortho-位C-H結合アセトキシル化はやはりPd(IV or III)経由だろう。
基質とPd(II)とのパラダサイクルの形成では分子内KIE=2.6で観測されている。
分子間ではどうなんだろう?
誘導基を使う反応では分子内KIEが大きな値で観測されているが、分子間では観測されないことがよくあるが?
この誘導基はフッ化物イオンで容易に脱離可能なので、その他のC-H結合官能基化反応への応用ができるか期待。
また、基質のフェノール類の酸素原子から窒素、硫黄に変えることはできるのか?
さらに、sp3C-Hであればアルキルのジオールの合成が可能になるんじゃないかとこの先が面白そう。
 

以上、雑記でした。

2011年10月23日日曜日

Pd(II)-Catalyzed para-Selective C―H Arylation of Monosubstituted Arenes

Xisheng Wang, Dasheng Leow, and Jin-Quan Yu
J. Am. Chem. Soc., 2011, 133 (35), pp 13864–13867

スクリプス研究所のYu先生の論文。
Pd触媒によるC-H/C-Hクロスカップリングの位置選択性について。
このタイプの反応は二置換ベンゼン(o-キシレンとか)とのカップリングでpara(+meta)選択的な反応が多いけど、一置換ベンゼン(トルエンなど)で完全なpara選択性を示す反応は無かった。
重要なのは誘導基と酸化剤の選択っぽい。
この誘導基はYu先生のグループが設計し、使っているもの(Ar=4-trifluoromethyl-2,3,5,6-tetrafluorophenyl)。
アミド構造で電子求引の強いアリール基が付いているので、NHのプロトンが抜けやすく、誘導基効果が出やすくなっている。
酸化剤はほとんどの無機酸化剤で反応性を示していなかった。
酸化力が強いF+系酸化剤でパラジウム(IV)中間体を経由することで反応が進行する。
para-選択性が現れる要因は(DG)-Ar-Pd(IV)-Fの生成にある?
一置換ベンゼンの置換基が立体障害になってortho-C-Hは反応しなくなるとして、meta-とpara-C-Hのどちらで反応するかは何で判断されているんだろうか?
一置換ベンゼンの速度論的同位体効果も調べているが、差は現れていないとなるとメカニズムは芳香族求電子置換なのか?
しかし、律速段階が別にある場合、KIEは出ないだろうから一概には言えない。
それにしても、ブロモベンゼンでもpara-選択的に進行するがすごいと思う。
まあ、パラジウム(IV)を経由しないといけないので、ハロゲン部分が反応する余地が無いんだけども。

以上、雑記でした。