J. Am. Chem. Soc., 2011, 133 (35), pp 13864–13867
スクリプス研究所のYu先生の論文。
Pd触媒によるC-H/C-Hクロスカップリングの位置選択性について。
このタイプの反応は二置換ベンゼン(o-キシレンとか)とのカップリングでpara(+meta)選択的な反応が多いけど、一置換ベンゼン(トルエンなど)で完全なpara選択性を示す反応は無かった。
重要なのは誘導基と酸化剤の選択っぽい。
この誘導基はYu先生のグループが設計し、使っているもの(Ar=4-trifluoromethyl-2,3,5,6-tetrafluorophenyl)。
アミド構造で電子求引の強いアリール基が付いているので、NHのプロトンが抜けやすく、誘導基効果が出やすくなっている。
酸化剤はほとんどの無機酸化剤で反応性を示していなかった。
酸化力が強いF+系酸化剤でパラジウム(IV)中間体を経由することで反応が進行する。
para-選択性が現れる要因は(DG)-Ar-Pd(IV)-Fの生成にある?
一置換ベンゼンの置換基が立体障害になってortho-C-Hは反応しなくなるとして、meta-とpara-C-Hのどちらで反応するかは何で判断されているんだろうか?
一置換ベンゼンの速度論的同位体効果も調べているが、差は現れていないとなるとメカニズムは芳香族求電子置換なのか?
しかし、律速段階が別にある場合、KIEは出ないだろうから一概には言えない。
それにしても、ブロモベンゼンでもpara-選択的に進行するがすごいと思う。
まあ、パラジウム(IV)を経由しないといけないので、ハロゲン部分が反応する余地が無いんだけども。
以上、雑記でした。
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